‟徳を積む” 訪日タイ人向けインバウンド施策

タイは、国民の90%以上が仏教徒です。

例えば、国旗の色の「赤」、「白」、「青」は、それぞれ「国家」、「宗教(仏教)」、「王室」を表しています。
電車の優先席には、僧侶のイラストが描かれており、男性の場合、一度は出家し、僧侶になることが当たり前とされています。

 

ET Tisomboon / Shutterstock.com

日本は「大乗仏教」、タイは「上座部仏教」の違いはありますが、同じ仏教国として、訪日タイ人を迎え入れる施策はいかがでしょうか。

タイ人の宗教のベースは「輪廻転生」

台東区が発行した「平成30年度 台東区観光統計・マーケティング調査」の報告書の中に「外国人モニターツアー調査」の結果が記載されています。

こちらは実際に 外国人モニターに区内を観光していただき、外国人の視点での意見やニーズを把握することを目的としたものです。

以下は、「タイ人モニター」の記述からの抜粋です。

・(タイは)仏教の国であり、神社仏閣での参拝について深い興味を持っており、参拝の作法等を正確に知りたいと考えている。

・神社仏閣は、観光地というより、信仰の対象として捉えられており、複数回訪問する傾向にある。

・同じ仏教でも、建物や地蔵等といった文化的背景がタイと異なるため、日本での ご利益等の意味や由来に興味がある。

・一神教の信仰ではないので、神社仏閣での参拝には全く抵抗がなく、参拝の作法を正しく理解したいと考えている。

宗教に対するタイ人の敬虔さが伝わるコメントです。

多くのタイ人が抱くのは、「今、善行を積み重ねることで、より良き来世を迎えることができる」
という輪廻転生の考えです。
寺院への参拝も、その善行のひとつです。

神社仏閣を巡っていただく「ルートマップ」とオリジナル「ご朱印帳」のご提案

本企画は、エリア内の神社仏閣のご協力をいただけることが前提となりますが、了承をいただければ、下記のような展開が考えられます。

■神社仏閣「ルートマップ」(タイ語版)
・神社仏閣の所在地、由来歴史
・おススメの移動順序と移動方法(交通手段)
・ご朱印がいただける場所か否か(参拝のみはその旨を記載)
・「ルートマップ」は無料で提供

■オリジナル「ご朱印帳」(タイ語版)
・通常よりも少ないページ数(エリア内向け)
・中にタイ語の用紙を挟み込む
 (ご朱印の意味、マナー、費用、依頼方法、日本語での言い方など)
・無料もしくは低価格で提供
※オリジナルが難しいようであれば、市販のものを用意

【配布場所】
・観光案内所
・エリア内の神社仏閣の受付
・駅の売店
・宿泊施設

以上が、ご提案の概要です。

但し、タイ人は長時間歩くのが苦手です。
できれば、バスや鉄道などで効率良く移動するプランが良いかと思います。

タイ人の旅行調査:国内旅行の目的

「タイ国家統計局」がまとめた2016年のタイ人の旅行調査によると、タイ人の国内旅行の目的は以下の通りです。

1 位「家族・親戚・友人に会うこと(33.1%)」
2位「観光・レジャー(20.2%)」
3 位「瞑想・寺への参拝(11.7%)」
4位「買い物と外食(7~8%)」

タイ国内旅行の目的にある3位の「瞑想・寺への参拝」は、タイ人らしい興味深い結果です。

タイ人の宗教観や想いに寄り添うことで、観光資産としての「神社仏閣」から本来の価値を提供できるのではないでしょうか。