タイ人女性と日本人男性の国際結婚
コロナ禍の厳しい状況の中、あるタイ人女性と日本人男性カップルが、この度めでたくご結婚されることになりました。
お二人より、弊社へ国際結婚手続きのサポート依頼をいただき、無事全ての手続きが完了しました。
お二人から「タイで同じようにお困りの方々のお役に立てるなら是非」と、情報提供についてご快諾いただきました。
そこで、タイ人と日本人の国際結婚の手続きについて、全3回で解説していきます。
今回はその①「在タイ日本国大使館編」です。
<目次>
日本とタイの国際結婚、手続きの違いはなに?
早速ですが、法的に当事者同士が婚姻関係を締結した、つまり「夫婦」になるには、日本人同士であれば“婚姻届を役所に提出し、
それが受理される”ことで手続きが完了します。
しかし今回は外国人同士の結婚。日タイ両国において、正しく手続きを踏んでいく必要があります。
手続きの最終的な目的地は、下記の二つです。
・タイ側で、婚姻登録を行い受理される
・日本側で、夫(自国民)を筆頭者として新戸籍編製
両国で正式に婚姻関係が認められ、この状態で初めて法的な夫婦になったと言えます。
婚姻の届けは、どこに出せばいいの? 日本・タイ?それとも両国?
国際結婚は、両国の役所へ順を追った手続きが必要となります。
婚姻の届けも、最終的には両国に出す必要があります。
タイ人女性と日本人男性の場合、
①先にタイで婚姻登録、その後日本で婚姻届を提出
②先に日本で婚姻届を提出、その後タイで婚姻登録
上記2パターンのどちらかで手続きを進めていくことになります。
ちなみにタイには、日本の婚姻届のような書式・書面はありません。
これからご紹介する各種必要書類を集めてタイの役所へ提出することが、タイで婚姻関係を結ぶ際のスタイルということになります。
本ケースは、お二人がタイ在住ということで①のパターンで進めました。
*②については説明を省きます。ご質問等は、ページ下部よりお気軽にお問い合わせください。
全体の大まかな流れ
結婚の手続きは、以下4つのステップを踏むことになります。
第1ステップ「在タイ日本国大使館で書類を入手」
第2ステップ「タイ国外務省の認証印付き書類を入手」
第3ステップ「タイでの婚姻登録」
第4ステップ「日本側へ婚姻届の提出」
ではそれぞれのステップを具体的に見ていきましょう。
第1ステップ「在タイ日本国大使館で書類を入手」
まず夫となる日本人が、在タイ日本国大使館へ行き「タイ国郡役場にて婚姻登録をする際に必要となる書面」を発給してもらいます。
その書類とは、以下2点。
・「結婚資格宣言書」
・「独身証明書」
こちらの書類は、結婚の当事者がタイ国郡役場にて婚姻登録をする際に「夫となるこの日本人は、自国民であるタイ人女性と結婚しても問題ないです」ということを、タイ国の法律に基づき、在タイ日本国大使館が宣言・証明する書面です。
こちらの書面を発行するために必要となる書類が以下11点。
1つずつ見ていきましょう。
日本人が用意すべき書類
①「戸籍謄本」1部
発行日から3カ月以内の原本。
「戸籍謄本」は、後の手続きで2部(場合によっては3部)必要です。在タイ日本国大使館へ提出すると、その後返却されません。
日本から取り寄せる際は1度に3部または4部、交付請求するようにしましょう。
日本国外からの「戸籍謄本」の取り寄せ方法は、各自治体により違いがあります。直接本籍地の役所へお問い合わせください。
*戸籍謄本:本籍地の役所が発行する、戸籍に記載されている全員の身分事項を証明する書面。
*戸籍抄本:本籍地の役所が発行する、戸籍に記載されている方のうち一部(一人または複数人)の身分事項を証明する書面。
今回は「戸籍謄本」が必要です。
②「住民票」
在タイ日本国大使館へ在留届を提出済みの方は、申請当日に在タイ日本国大使館職員が準備しますので、事前準備は不要です。
③「在職証明書」
④「所得証明書」
自身が所属する会社へ発行を依頼します。
レターヘッド、社印、代表者の署名が必要です。
⑤「ワークパーミット」
原本、及びコピー(顔写真のページ、最新のスタンプのページ)。
コピーには、「パスポート」と同じ表記での署名が必要です。
⑥「パスポート」
原本、及びコピー(身分事項記載のページ、ビザのページ)。
コピーには、「パスポート」と同じ表記での署名が必要です。
⑦『「結婚資格宣言書」作成のための質問書』
⑧「証明書発給申請書」
どちらも在タイ日本国大使館領事部窓口に備え付けがありますが、事前に準備しましょう。(大使館ウェブサイトからダウンロード可能)
特に“⑦『「結婚資格宣言書」作成のための質問書』”に関して、日本国内在住の成人2名を証人として、
その方の住所と共に記載する必要があります。ぜひ、事前に確認を済ませておきましょう。
タイ人が用意すべき書類
⑨「IDカード」
原本、及びコピー。コピーには署名が必要です。
⑩「タビアンバーン(住居登録証)」
原本、及びコピー(住所ページ、自身のページ)。コピーには署名が必要です。
⑪「パスポート」
原本、及びコピー(身分事項ページ)。コピーには署名が必要です。
未取得の場合は不要です。
⑩の原本に関して、“遠方の実家にある”等で用意できない場合、コピーを送付いただくよう実家のご家族へ依頼しましょう。
ご家族の署名は不要です。
また「タビアンバーン(住居登録証)」原本が入手できない場合、代わりに「基礎登録資料からの国民登録事項証明書(様式トーロー14/1号)」を入手します。
こちらは、タイ国の家族登録に係るコンピューターシステムに基づき発行されるものです。
したがって、全国どこの役所でも申請することが可能であると思われます。
詳しくはお近くの役所へお問い合わせください。
なお、在タイ日本国大使館へ提出するこれらの必要書類は状況により変化する可能性があるため、念のため直接ご確認ください。
在タイ日本国大使館領事部旅券、証明、戸籍国籍班
・電話:02-207-8501, 02-696-3001
・FAX:02-207-8511
・Eメール:ryouji-soumu@bg.mofa.go.jp
・ウェブサイト:https://www.th.emb-japan.go.jp/itpr_ja/consular_marriage.html
重要!
在タイ日本国大使館より発給される上記2つの書類は、2021年3月時点においてタイ国の法律に基づき、タイ国郡役場への提出が義務付けられています。
それとは別にもう1点「旅券に関する証明書」という書類があります。
こちらの証明書は、一般的には“タイ民商法典に基づく婚姻登録を行う場合に、タイ政府(内務省地方行政局)が公式且つ一律に求めている文書ではない”とされています。
また、下記の発給条件をすべて満たす場合にのみ、申請が可能な特殊な書類となります。
②申請者本人が公館に出頭して申請すること(代理申請は認められません)。
③提示する旅券は現に有効なものであり、かつ、原本(オリジナル)であること。
④当地官憲当局から旅券の写しに係る公館の証明を強く求められている特段の事情があること。
しかしながら昨今、後にご紹介する結婚手続き第3ステップ「タイでの婚姻登録」のタイ国郡役場へ各書類を提出する際、その役場によっては、「結婚資格宣言書」と「独身証明書」と併せてこの「旅券に関する証明書」の提出を求められます(上記④に当てはまります)。
また、第2ステップで詳しく解説しますが、上記3つの書類すべて、準備には、タイ語翻訳を済ませた上でタイ国外務省を訪問し、
認証印を入手する必要がある等、大変手間と時間がかかります。
在タイ日本国大使館やタイ国外務省、タイ国郡役場等に足を運ぶ回数を減らせるよう事前にタイ国郡役場へ確認しておきましょう。
ちなみに婚姻登録を行うタイ国郡役場ですが、タイ人配偶者の住居登録役場である必要はありません。
数か所連絡をしてみて、必要書類や申請要件がより少ないタイ国郡役場がよいかと思われます。
好みの役場があればそちらもいいですね。バンコク都内であれば、ゲンを担いで、バーンラック(バーン=街、ラック=愛する)区役所が人気のようです。
「旅券に関する証明書」申請必要書類
「旅券に関する証明書」の申請必要書類をご紹介します。
・「証明発給申請書」
・「パスポート」(原本とコピー(身分事項ページ、最新の滞在許可スタンプページ))
・「旅券所持証明申請理由書」
「証明発給申請書」の記載方法は【サンプル】旅券証明申請書こちらをご覧ください。
「旅券所持証明申請理由書」は、在タイ日本国大使館職員から申請時に受け取り、その場で記入します。
更に、上記発給条件の「④」を満たすため、下記も準備しましょう。
【必須】
確認を取ったタイ国郡役場名
【念のため】
確認を取った日付・担当官名
本証明を含む、婚姻登録をする際に必要となる書類一式が書かれた書面*
*タイ国郡役場による特定のフォーマットはありませんが、リクエストすれば必要書類一式がタイピングされた書面を出してくれるタイ国郡役場もあります。
仮にそのような用紙が無い場合でも、必要書類一式をタイ国郡役場へ確認する時に自身でメモに書き留めておいて、在タイ日本国大使館へ持参しましょう。
在タイ日本国大使館で申請
必要書類の準備が完了し次第、在タイ日本国大使館領事部へ向かいます。
週末や祝日は休館のため、平日に申請を行う必要があります。
▶領事部受付時間:平日の8時30分から12時00分、13時30分から16時00分まで
申請のための事前予約は必要ありません。
公共交通機関では、MRT(地下鉄)が便利です。
MRT(地下鉄)「ルンピニ―」駅3番出口から北に約5分で到着します。
こちらが領事部入口。駐車場があるので、車やバイクでの訪問も問題ありません。(駐車料金はかかりません)
入館前にパスポートの提示を求められます。タイの運転免許証も提示可。
中に入って番号札を取り、呼ばれたら準備した書類をすべて在タイ日本国大使館領事部職員に提出します。
その場で書類の確認が行われ、不備がなければ、それらの書類は回収されます。
代わりに、書類発行日や手数料等が記載された「申請受理票」を受け取ります。
証明書は、原則として3開館日で交付(例:火曜日申請→木曜日交付)されます。
手数料は、受け取りの際に支払います。
また、申請は代理人でも可能(要申請本人からの委任状)*ですが、受け取りは本人でなければなりません。
*旅券に関する証明書の申請は、申請者本人が手続きする必要があります!
初日の手続きは以上です。
次は、申請した書類の受け取りです。
在タイ日本国大使館で、書類の受け取り
「申請受理票」と手数料を準備して、在タイ日本国大使館領事部へ向かいます。
手数料支払いは現金のみのため、事前に準備しておきましょう。
「独身証明書」310バーツ
「結婚資格宣言書」490バーツ
「旅券に関する証明書」600バーツ
合計1,400バーツ
*金額は2021年2月時点
ちなみに、2021年2月時点で、領事部敷地内にクルンシー銀行(黄色の銀行)のATMが1台ありました。
▶領事部受付時間:平日の8時30分から12時00分、13時30分から16時00分まで
番号札を取り、呼ばれたら窓口へ向かいます。
「申請受理票」を職員へ渡し、書類を受け取ります。
受け取りの際、職員の方より「このまま待っていますので、一旦席に戻って、記載内容、名前の綴り等、全てにおいて間違いがないか細部まで確認してください。」と案内されます。
後日、間違いが判明した場合の修正・再発行は原則行っていないとのことで、その場合、ふり出しに戻り戸籍謄本の準備からとなってしまいます。
これらは、婚姻登録をする際の添付書類となり、非常に重要な書類ですので、焦らずに慎重に確認しましょう。
中身は全て英語で表記されています。
書類の記載内容に問題がない場合、先ほどの窓口へ戻り、確認が済んだ旨を伝えます。
受け取りのため自身の署名をし、手数料を支払います。
領収書を受け取りますので、宛名指定の場合は申請時に合わせて依頼しておく必要があります。
*申請時、「タビアンバーン」の代わりに「基礎登録資料からの国民登録事項証明書(様式トーロー14/1号)」原本を必要書類として提出した場合、一度在タイ日本国大使館に回収され、書類受け取り時に返却されます。こちらの書類は後の手続きで再度利用する場合がありますので、大切に保管しておきましょう。
*申請時、「タビアンバーン」原本を提出した場合は、申請時の書類確認後に返却されます。
以上で、国際結婚手続きの第1ステップ「在タイ日本国大使館で書類を入手」が完了となります。
次回は第2ステップ「タイ国外務省の認証印を入手」、タイ国側への申請が始まります。
次回:タイ人との国際結婚【徹底解説】その②「タイ国外務省・タイ国郡役場編」
お問い合わせ先
*弊社での手続き代行は致しておりません。
本記事は、2021年10月時点の情報です。最新情報は、在タイ日本国大使館、タイ国外務省等へお問い合わせください。
在タイ日本国大使館領事部旅券、証明、戸籍国籍班
・電話:02-207-8501, 02-696-3001
・FAX:02-207-8511
・Eメール:ryouji-soumu@bg.mofa.go.jp
・ウェブサイト:https://www.th.emb-japan.go.jp/itpr_ja/consular_marriage.html
タイ外務省
・電話: 02-203-5000, 02-572-8442
・ウェブサイト:https://www.mfa.go.th/en